描いているとき

 

展覧会の制作は順調に進んでいる。(はず)
大作から30cmくらいの絵まで様々、ある程度大きい絵はそれだけ表現したいことがあるので
自然と力が入ったり覚悟が必要だったり・・・

絵を描いている最中は、頭の中で考えていることがたくさんあって、
つまらないことだったり、絵についてだったり、人生についてだったりする。

そのうちにどんどんとエスカレートしていって、だんだんと音楽も聞こえなくなって、気がつくと何処かで遭難してしまうくらい
遠くへ行ってしまうから、そうならないくらい音楽のボリュームを上げて描いている。
時々ノリノリで歌ったりとかして、外に聞こえちゃっているんじゃねーかナ・・・(恥)

そんな調子でこれまでに描いた大小何百という絵の中に、
頼まれたわけではないけれど誰かのために描いた、という絵がある。
何百の内のほんの片手で数えるくらい。

絵描きにとって、望まれて描けるなんて憧れちゃうぜ ってくらい幸せなことだけれど、
例え望まれなくても、この人のために描きたい、と思えることがあるなんて最高なんじゃないかと思う。

それは頑張って描けるものでもなければ、望んで描けるものでもないからたくさんはないし、次にいつ描けるかはわからない。

そんな絵は、展覧会に出ることもその場所以外にかかることもないかもしれないし、
例えば、明日を望む小さな絵だったり、色鉛筆で描いたポートレイトだったり、サイズも技法も様々だけれど
それでもおれにとっては特別なものにかわりはない。

昨日はそんなことを想う嬉しいことがあって、少し元気になってまた新しい絵を描いている。



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