覚えていること

 

旅へいったりすると、
そのときの空気とか光の温度とか風の匂いとか
景色を見ながらそういうことを覚えている。
そういうことはいつまで経っても鮮明に蘇ってきて、あるとき色に変わって絵ができたりする。

先週末、福山のホテル催事での展示会に行ってきた。
ついた日の夜はお世話になっている画廊の方に瀬戸内の海の幸をご馳走になり、のどぐろ とか よこあ(本マグロのまだ小さいやつ)などなど旨かったなー。

翌朝早く、福山城の周りを散歩した。
天気は良かったけれどまだ空気は少し冷たくて、
天守閣上空にはツバメがすいすい飛んでいて、
半分は地面に重ねて散った桜の花のあいだをエナガがさえずり、
お年寄り達がなんとかいうゲームをしながら笑い声を響かせていた。
そこを抜ける風と光はいつか絵になるだろうな。

そんなことを思いながら描いた絵の展示会はというと・・・
大盛況、よかった~。
保障なんて何もないところで
たくさんの人たちが携わってくれて発表が出来、
わざわざ足を運んでくれる人たち、買ってくれる人たちがいて
絵が完成する、と思っているから。

例えば見慣れたはずの近くの場所でも、海の向こうの初めて見る街でも、その場の風に吹かれ地の料理や酒を飲み、そうして景色を胸に焼き付けるのがいい。

道は本当に覚えられないけれど(笑)
空気の色はいつまでも覚えている。



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