白い羽飾り


今月はじめにデッサンを描き始め、
そのあとそれを元に水彩を描き、
オファーはいくつかあったけど、これらは非売扱いです。

デッサンとか水彩は描くのに普通に手間が必要な割に金銭的評価が高くない(笑)
もう一つの本当の理由は、これらはおれにとって、新しくない。
大体見えていることを解って描いているわけで、厳密に言うと、
これからの新たな試みへの段取りでもあるから、人に持ってもらうよりも、
自分で持っている方が価値がある。
たぶん。

この人形が指導に行っているアトリエに来たのは数年前。
ある女性の生徒さんが、別の人形をパステルで描いていたのを見ていた別の生徒さんが、
その人に雰囲気が合っているからと持ってきてくれたものだった。
でも、その女性の生徒さんは今この世界にいない。
闘病の末、おれと同い年だったにも関わらず昨年亡くなった。
病床でも、みんなと絵を描きに行きたいと言ってくれていたらしい。

そして、デッサンの人形の右手がない理由。
一昨年の東北沖地震の際、横浜にあるアトリエも相当に揺れ、
保管してあった棚から落ちて折れてなくなった。
髪の毛で隠してはあるけれど、頭も沢山のヒビが入っている。

そんなことを思い出しながらデッサンではなるべくバックストーリーに忠実に、
水彩画ではそれを汲んだ上で色々な想いを込めて描きとめてみた。
なので表情も違うし、手もあったりなかったりする。

そしてこれらを描いた最も大きな理由は、
いづれ描こうと思っている人物像に向けての準備のつもり。
具体的にどうってわけじゃないけれど、気分的にね。



    


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