前回の続き
そういうことなんだよ を現実のものにするというのは
それもまた大変で、大変なのは自分がかというとそうでなく
周りに支えてくれる人たちがいてくれてこそ、という事なんだ。
学生の頃期間限定でバイトしたコンテナ倉庫の会社の主任。
「オメーが1番にバックれると思ってたけどよ、
こんなに働くと思わなかったよ、絵で食えなかったらいつでも雇ってやるぞ」
と言ってくれた。
卒業後生活に困窮した時に世話になった補修屋の女社長。
朝6時に起きて現場へ向かい11時過ぎに帰宅すると次の日の現場の
FAXが届いているという日々で、
半年もしないうちにアルバイトを辞めたい旨申し出ると
「おい!ただで求人出してるんじゃないぞ!何のためにお前を雇った
と思ってるんだ!」とどやされ、
「3ヶ月後に個展が決まったんですが、今の生活だと描けないんで
申し訳ありませんが・・・」と言った途端に
「おい!お前っ!良かったな!ガンバレ」といって1週間後にその月の
給料とともに送り出してくれ、個展にも来てくれた。
会社も辛い時期だったが元気をもらったとさえ言ってくれた。
その後から今まで、20年近く世話になっているアトリエのボスは
これまでの間、留学やら海外での制作やら個展やら、数週間~1年の
休みを容認してくれるという懐の深さ、その間授業を代わってくれる
先輩方、同僚達。
その都度、必ず帰ってこいといって送り出し、待っていてくれる生徒さん達。
のちに大きな転機を迎えることになる個展の準備中、カタログを作る金がなく、
アトリエに1ヶ月分の給料の前借りをお願いしたところ、
「それ私が貸してあげるよ」と即答してくれた先輩。
ここには書ききれない程の人たちの支えがあって描けている。
生涯をかけての恩返しは、本物の絵描き でいること。
そういつも心に思っているのだが、
先のボス曰く 「あー、彼は自分勝手な男ですからねぇー(笑)」
そういうことなんだってさ。