ある日画廊の担当の方から1本の電話が入った。
夏の企画展のための制作依頼だったのだが、そのテーマが「犬と猫」。
よく扱うテーマではないけれど子供の頃から沢山の動物と暮らして
きたから犬も猫も好きだし、ここ数年は猫を飼っているので
「じゃあ猫かな」と伝えたところ「出来れば犬を」
「・・・」
幼少期、家の近所には農家と兼業の猟師が居り、鉄の折に入れられた
猟犬が沢山いたことを思い出す。
私が動物を描くのは 生命へのリスペクト と
厳しい自然の中で生きる姿の美しさ を表したいから、
ということも相まってポインターと言う狩猟犬を描くことにした。
彼らは主人が撃った獲物の位置(ポイント)を素早く察知し
その場へ到達すると独特の姿勢で教えると言う役割を担っている。
殆ど初めて描く犬種だったけれど、
胸から前足の発達した筋肉、無駄を削ぎ落とした身体つきは美しい。
人間が猟の助手として連れて行くので本来であれば首輪を着けている筈
なのだが、最後まで迷った挙句どうしても描き入れる事が出来なかった。
自然の景色の中で風の匂いを嗅ぎ取る野性味溢れる堂々とした姿を
つづく。