ある日画廊の担当の方から1本の電話が入った。
夏の企画展のための制作依頼だったのだが、そのテーマが「犬と猫」。
よく扱うテーマではないけれど子供の頃から沢山の動物と暮らして
きたから犬も猫も好きだし、ここ数年は猫を飼っているので
「じゃあ猫かな」と伝えたところ「出来れば犬を」
「・・・」
幼少期、家の近所には農家と兼業の猟師が居り、鉄の折に入れられた
猟犬が沢山いたことを思い出す。
私が動物を描くのは 生命へのリスペクト と
厳しい自然の中で生きる姿の美しさ を表したいから、
ということも相まってポインターと言う狩猟犬を描くことにした。
彼らは主人が撃った獲物の位置(ポイント)を素早く察知し
その場へ到達すると独特の姿勢で教えると言う役割を担っている。
殆ど初めて描く犬種だったけれど、
胸から前足の発達した筋肉、無駄を削ぎ落とした身体つきは美しい。
人間が猟の助手として連れて行くので本来であれば首輪を着けている筈
なのだが、最後まで迷った挙句どうしても描き入れる事が出来なかった。
自然の景色の中で風の匂いを嗅ぎ取る野性味溢れる堂々とした姿を
つづく。
今月21日まで開催の夏の会展に出品している4点の内の1つ
10号F「木漏れ日の食卓」という絵を描くきっかけとなったのが
この4号の水彩画 「 Le jardin de Valérie et Alain」
数年前個展の為の制作でパリに滞在中、郊外にある友人夫婦の家
に招かれた時のこと、
決して大きくはないけれど丁寧に手入れされた庭や家からは
とても心豊かな生活をしている様子が伝わってきて、
こんな暮らしが出来たらいいなと思ったのだった。
家に着くと飼っている小鳥の声と草花に包まれた庭があり、
そこにあるテーブルにはクロスがかけられていて手土産に
と買っていった赤いバラの花を飾ってくれた。
そして持っていった赤ワインを手渡すと数種類のチーズを出してきて
つまみながら「今年はここになんとかの花を植えたのよ」とか
「制作の調子はどうだい?」とか話しながら始まったランチタイムは
日が暮れるまで続くことになるのだった。
この絵の制作についてはまだ続きがあるのだけれど
また改めて書くことにして、この穏やかな光に包まれた景色の
余韻を楽しもうと思う。
明日から日動画廊東京本店にて
第16回 夏の会 展が始まります。
ベテランから気鋭の若手まで今回は
19人の選抜作家による新作発表です。
20号〜小品4点のそれぞれの世界を
楽しんで頂ければ嬉しいです。
M 20号 風のあとかた
F」10 木漏れ日の食卓
他4号2点を出品中です。
よろしくお願いいたします。
6月29日から!7月5日まで
岡山天満屋百貨店にて8名の作家による
天星会が開催されております。
ベテランから若手作家まで数点ずつの新作
発表です。
私も20号から4号までの最新作7点を出品
しています。
↓こちらから会場の様子を見ることが出来ます。
https://www.tenmaya.co.jp/okayama/art_vr.html
↓こちらは展覧会のパンフレットの画像です。
https://www.tenmaya.co.jp/webchirashi/okayama/01907/html5.html#page=7
私の出品作の一部です。
20F 月光に立つ
10F 流れ、風影
8F 光の路を行く
6F 青色に吹く