小さなアトリエには組んだばかりの木枠やキャンバス、
下色を施した状態から描き始めの絵が幾つも重なり合って
置いてある。
絵描きの仕事は毎朝5時に始まる。
そして起きてから寝るまで、何を描けば良いのか を考えて
いる。実在の景色を描きながら、
「こんなふうに見えたら良いな」という空気を重ね合わせたい。
私の描く絵には幾つかの役割があると思うが、
その1つとして日常からの解放や気晴らし、更には開放よりも
幾分積極的な意味を持たせたいと思う。
そこには少しでも希望の持てる光や風があって欲しい。
希望と言うのは過去を塗り替える事ではなく未来を見ると言う事。
私はこれから過去や現在の形を借りてほんの少し未来の景色を
描いていくのだと思う。
2月は上旬に大丸神戸店、
中旬に心斎橋店のホテル催事、
下旬は京都店での個展が開催されました。
事の発端は昨年の大阪で催事があった際、
感染症拡大予防の政策の真っ只中でかなり厳しい状況
の中この関西ツアーの企画を提案して下さり、
信頼のおけるスタッフと共に新作40点を制作して
臨んだという経緯があります。
これだけでも有り難い話ですが、この10年の間
大阪を中心に個展を幾度も開催してきましたが、
結果で言うならば ほぼほぼ無反応 と言う苦渋を
味わってきました。
会場にいる時間は自身の絵を眺めながら
どうやったらこれ以上の絵が描けるのか?
何をすれば思い描いている世界が伝わってくれるのか?
ばかりを考えていました。
常にその時の100%の状態で制作に向かおうとしていますが、
自身の絵に足りないものを探し続けていた気がします。
そんな中、今回の展示はとても良い伝わり方をしたと
実感する内容でした。
相変わらず足りないことは多くありますが、
関わって下さった方々と展示に足を運んで下さった皆様の
想いが重なった結果のように思えてなりません。
更には今後の展開まで続くことが決まり、
これから出来ることを込めて全力で絵に向かう日々を
過ごしています。