シンガポールの新聞にはギャラリーオープンと展示作家の、 パリの美術情報誌にも2人展の記事を載せてくれた。 こういう風に文章になると、 いつも漠然と考えていて掴みどころがない様なことが端的に言葉として表されていて、 自分自身で そういうことだったんだな と改めて理解することもよくある。 絵を観に来てくれた人から、どこからこういうイメージが沸くんだ?と聞かれて、 言葉に詰まった挙句 空から降りてきた とか言ったりして… 笑って納得されちゃったりしたけれど(笑)そんな時は評論家ってすげーなと思ったりする。 時々、外側から見た印象でニックネームみたいな冠が付くこともあって、 ある個展の紹介では 色彩の魔術師 と書かれ、 フィレンツェの友人の間では 絵描きのリョークン と呼ばれ(これは間違いない)、 そしてシンガポールでは The Woods Whisperer! 日本語で 囁く人 を指す言葉が見つからず、 森の語りべ って感じか…? いろいろな冠が絵のイメージから付けられるのは嬉しいけれど、 実際に会って、ガッカリりさせたら悪いナ…と思わないこともない(笑) かと言って、自分で全てを理解しているかというと… 制作に関わるあらゆる事に答えを持っている様にトレーニングしたはずなのに、 時が経つと、それまでの答えでは補い切れない感覚とか感情とかが増えていて、 表現し、伝えたい世界が気づかない速度で変わっているんだな、と感じる。 そして、頭の中には常に 掴み切れないイメージ があって、 それらはゆっくりと、時には数年経って絵に現れたりするんだ。 今持っているイメージが形になって出てくるのがいつになるのかはおれにも解らない。 そんな中で、今日はいいイメージで制作がすすんだな。
今日は、
いつもおれの周りにいてくれる連中との楽しい時間を過ごすことができた。
けれど、
それとは別に、今思うことを書こうとおもう。
誰かと初めて出会ったり、長い間会えなかった人と再会したり、
それは突然やってくるけれど、
とりわけ別れは心の深い所に突き刺さる。
先月、闘病中だった友人が亡くなった。
彼女はおれと同い年で、きっと彼女の人生の内のホンの少しだっただろうけれど
共に過ごした時間は、笑ってばかりだった気がする。
知らせを受けたのは先週、シンガポールから帰国したばかりの空港だったけれど、
そんな事を知る前の、やたらと綺麗に見えた南国の朝日を忘れることはないと思う。
こんな理不尽に耐えなければいけないこともわかってはいるけれど・・・
ありがとう
と
ご家族の方に心よりお悔やみを申し上げ、ご冥福をお祈り致します。
事の始まりは,東京のギャラリーの担当者からのMailだったか、電話だったか。 シンガポールでギャラリーを開きたいという方があって・・・ そこで絵を扱ってくれるということで、 今回のギャラリストであるKATO氏の、サモトラケのニケに由来するという娘さんの名前をとった ギャラリー名、それがNIKEI FINE ARTだった。 初のシンガポールはどうだったかというと、 街は騒々しくなく綺麗、陽射しは暑い、飯は美味い、そして人は皆優しい。 ギャラリーのスタッフ達もとてもフレンドリーで気持ち良く接してくれた。
日本からはおれを含めて3名、二科会理事のNOBUさん、都内で修復スタジオを持つJUNさんと ご一緒させて頂く事になるけれど、お2方ともとても気さくで、制作についての話や絵に対しての 構えなどを話ながら、初めから楽しい夜になった。 着いた翌日は、メディア、ファンに向けてのギャラリーのお披露目となるPARTYで、 自身の制作についてのスピーチ、通訳の打ち合わせ、アドリブでテキトーな(あとのお2方は英語喋れる) English speech! 地元テレビや美術、デザイン誌などメディアのインタヴューを受け、夕方からのPart2では 大勢の人が出入りし、スタッフに手伝ってもらいながら絵の説明や質問に答える数時間を過ごし、 終わったあとはホッとひと息~~。
翌日は1日街観光。 流暢(?)なノリノリ(!)の日本語を話すガイドさんが朝からよるまでアテンドしてくれ、 シンガポール観光スポット満喫! おれがギター弾くと話したら、ギャラリースタッフの1人が、「ならギターショップを案内してやる」 といって、ギターショップがいくつもひしめくビル内を案内してくれたり、 別のスタッフは、RYOの絵は中に入って行けそうな感じがする といってくれたり、 ANDY WARHOL展を観たり、 今回は時間の問題で昼間の部は行けなかったけれど、スタッフが RYO、ZOOには行けたか?
と心配してくれたり(笑)
その翌日はまたインタヴュー&コレクター向けのPARTY、打ち上げ後更にアーティスト3人でビールを飲みながら シンガポール最後の夜を味わった。 仕事ではあったけれど、なんだかリラックスして楽しかったな。 やっぱり、人との出会い(時に別れ)、その場所の空気、自分の気持ち、そういうのが重なって、 新しい世界が見え始めて絵になる というのを大切にしたい。
そして、片道7時間のフライト中 普段あまり観る機会がないからか!?、2本立ての邦画に、涙を堪えるのが大変なくらいにやられ、 帰りの便でも同じの観ちまったくらい(笑) あー、20年ぶりくらいに惚れたな・・・会ったこともない女優さん(彼女が演じるヒロイン)に。
そんなSingapore、また近いうちに行けるといいな。
なんだかこの夏は、少しの間が果てしなく長く感じる。
そうは言っても時はどこにいても同じ速度で過ぎていく、
という当たり前のことが、今は信じられない。
それでも8月に入って銀座の画廊で開催されていた夏の会も終わり、
暑い中わざわざ足を運んでくれた人達へ
ありがとう。
おれもできる限り出かけていって、会って話をしたりしたけれど、
ネクタイ屋さんの社長をしている同い年の従姉妹が来てくれていろいろと話した時に思った。
クールビズとかってネクタイ離れするんじゃないの?
そうしたら、彼女は ある層以上のビジネスマンたちはちゃんとするのよ と。
もちろん彼女もしているんだけれど、暑い中少しでも涼しい格好で仕事の効率をあげようという主旨での
社会的な動きは正しいのかもしれない。
けれど、ドレスコードがある世界でならば、会う人に少しでも涼しい気持ちになってもらうためのネクタイを選ぶ
というスタンスの方がおれは好きだな。
毎日ジャケットとネクタイで外回りをしているわけではないけれど、
今年の夏、あまり暑いと感じない。
そとを歩いていても流れるほど汗もかかないし夜も寝られるし・・・(そりゃ酔っ払っているからか)。
今は、秋にある台北のアートフェアに向けての大作数点とシンガポールでのギャラリーオープンを控え、
そこへ収める小品15点、+諸々を制作中。
&シンガポールのギャラリーで開かれるパーティーに向けてスピーチの原稿書き・・・。
生い立ちから絵についてまで、ひねり出したところでそんなに話せることはない、うえに、
自分の文章構成力の無さにだいぶへこんだ(笑)
そんなこんなで来週は初アジア訪問となる赤道直下の大都市へフライト。
暑さと乾きにはめっぽう強いけれど、さすがに暑そうだな。
でもスーツもネクタイも持って行くよ。