ザワザワする。

F10そのさきにあるもの2015

 

−そのさきにあるもの−              F10            2015

 

 

今から遡ること1ヶ月、生まれたての子猫2匹を保護した。

本当は3匹いたんだけど、動物の本能に基づく掟なのか、

その掟に人間が踏み込んだせいなのか、1匹は幼くして

生き残ることが出来なかった。

そんなことがあって、瀕死の子猫を家で世話することになり、

あのままだったら数日保たなかったであろうことなど嘘の様に

日々すくすくと成長する姿を見守っている。

更に遡ること5ヶ月、新しい命が宿っていることが判明し、

来年春先に親になります。(実質もうなっていますが)

これまで見守ってくれたり、お世話になった方々へのご報告として

この場で書くことにし、無事に生まれた時にそのことだけを

また書こうと思います。

 

そして、遠く離れた場所やごく身近な所で様々なことが起こり、

それは例えば 自分が生まれた国に安心して住むことも出来ず、

何事もない日常を求め命がけでたどり着いた場所で、自国民の

一部の主張の為にその凶行の犠牲になってしまう理不尽であったり、

顔見知り範囲での、何を大切にしているか について相容れない

感情が大きく膨らんだり。

個人の生き方、信じるものを突き通そうとすればそれなりに摩擦が

起き、時に互いを傷つけることは避けられないのだろう。とはいえ、

最低限守らなければならない尊厳があることは過去から学ばないと。

人が生きて来た 歴史の意味 がなくなってしまうのではないのか。

 

その 意味 を絵の中に含めたいと願っているので、

これらのことはとても大きな衝撃となって心の深い部分を揺さぶり、

ここ数日の間、心がザワザワしている。

自分を無力だと思うことは簡単だがそれは逃げに等しい。

命を懸けて出来ること おれにとっては絵を描くこと にどう向かうか。

日常の全てを含めて、改めて構えを正す時にあると感じている。

なんて考えながら歩いていたら、買ったばかりの筆を落としてなくす

っていうね。

 

 

 

 

 

 

Identity

F4晒された場所2015

 

「晒された場所」 watercolor on paper F4 2015

 

かつては観光客で賑わいをみせていた地も、

様々な理由が重なって、訪れる人が少しずつ減り、

しまいには住んでいた人たちも減り、寂れた空気を纏う。

だがそこには本来の姿があり、厳しさを含んだ平穏な光が

射しているものだ。

 

旅先で描いた水彩画。

晴天の空の下、穏やかな光の裏にみえる様々な思い。

好む好まざるにかかわらず、その厳しさこそが

真の姿であることを本能的に知っているか。

そんなことを切々と感じながら3時間程で描き上げた。

平和だとか優しさだとか、綺麗すぎる絵は、

もう描きたくはない。

おれの知っている真実を描くべきなのだ。

 

 

 

 

 

 



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