残るもの

好きな絵描きはたくさんいる。

その中でも過去に影響されたり真似てみたりしたものも

たくさんあるけれど、

今1人を選ぶならばアンドリュー・ワイエスだ

と話したら、「なんでアメリカ人なんだ!?」

と友人に驚かれた。

彼もアーティストなんだけど、常々生まれや血筋というものを大切に

思っているらしく、奴らしい反応だったな(笑)

ワイエスの、絵に向かう姿勢が好きだし、そうあれたらいいと憧れる。

 

絵を本格的に勉強し始めてから20年以上が過ぎ、

日常生活の中で、食事をするとか睡眠をとるとか、そういうのと

同じレヴェルで絵を描いていることがアーティスティックだと

勘違いしていたこともある。

日常とは一線を画したところにあるものがアートであって、

爪に火を灯したり、誰かに手伝ってもらったりするものではない。

と思っているし、それは必ず伝わると信じている。

 

自分にしか描けないものを描いているなんて思ってはいない。けど、

おれだから描けるもの を描こうとしている。

それはバックグラウンドを含め、積んできたものをフルに使って、日常の隣にあって欲しいもの

を目指しているから。

それは言い換えれば 生きるために必要な絵画ということ。

心に沁み、そして 他の誰かみたい ではないこと。

 

だから、おれの絵は真っ白のキャンバスを張るところから

完成するまでの間、一時たりとも 誰がやっても同じ ところはない。

 

最後に守るもの さえあればカネにもメイヨにも興味はない。

踏み外しませんように。

 

 

 

白い羽飾り


今月はじめにデッサンを描き始め、
そのあとそれを元に水彩を描き、
オファーはいくつかあったけど、これらは非売扱いです。

デッサンとか水彩は描くのに普通に手間が必要な割に金銭的評価が高くない(笑)
もう一つの本当の理由は、これらはおれにとって、新しくない。
大体見えていることを解って描いているわけで、厳密に言うと、
これからの新たな試みへの段取りでもあるから、人に持ってもらうよりも、
自分で持っている方が価値がある。
たぶん。

この人形が指導に行っているアトリエに来たのは数年前。
ある女性の生徒さんが、別の人形をパステルで描いていたのを見ていた別の生徒さんが、
その人に雰囲気が合っているからと持ってきてくれたものだった。
でも、その女性の生徒さんは今この世界にいない。
闘病の末、おれと同い年だったにも関わらず昨年亡くなった。
病床でも、みんなと絵を描きに行きたいと言ってくれていたらしい。

そして、デッサンの人形の右手がない理由。
一昨年の東北沖地震の際、横浜にあるアトリエも相当に揺れ、
保管してあった棚から落ちて折れてなくなった。
髪の毛で隠してはあるけれど、頭も沢山のヒビが入っている。

そんなことを思い出しながらデッサンではなるべくバックストーリーに忠実に、
水彩画ではそれを汲んだ上で色々な想いを込めて描きとめてみた。
なので表情も違うし、手もあったりなかったりする。

そしてこれらを描いた最も大きな理由は、
いづれ描こうと思っている人物像に向けての準備のつもり。
具体的にどうってわけじゃないけれど、気分的にね。




Performance

先週の、京急百貨店での展示はとても沢山の方が足を運んでくれて、

新作描きおろし4点の他に、数ヶ月前に描いた小品2点も加え、

4点売れました。

決して安いモノではないから、毎回緊張するけれど、

それでも深い思い入れと風の吹く世界を見せられればいい。

観に行ってくれた方たち、手に取ってくれた方たちにありがとう。

 

 

昨日は知り合いのミュージシャンのいる2つのバンドのLIVEに出かけ、

観客を楽しませるPerformanceの高さにすっかりヤラれて帰ってきた。

先ず情熱。

そして己を理解した上での見せ方、伴う必要なだけの技術。

かっこ良すぎるゼ!

そしていろいろな志のある友人達との夢の話は尽きない。

 

朝からCanvasに向かい、今月中にあげる予定の大小5点を同時に進めている。

今年も展示会が沢山ある。そして来年のも決まり始めてる。

やらなければいけないこと、やりたいこと、は沢山あって、

それは 世界中を探しても、ここにしかないもの を作るために

必要なことなんだろう。

なんだか今年は音楽活動というか、憧れ続けてやっているバンドの

LIVE EVENTも増えてきて(笑)もちろん楽しむ範囲での話ではあるけど、

それなりのレベルのなかに入るのは絵より緊張するぜ・・・。

 

さらに、3月24日からのFIRENZE TOUR!

おれ本人が楽しみだ!

ITALIAの風を受けながら、

スケッチなんか出来るかどうかわからないけれど、

おれがノリノリで描いてるスケッチを見ながらCaffeとかVinoとか飲みたいぜ!

なんて人もWelcomeです。まだちょっと余裕があるみたいなので。

それまでに何点も仕上げとかなきゃ!

 

 

 

手の、その先

Blogをupdateしないまま、

いつの間にか2月に突入。

今年は色々な目標があって、

その一つとして、個展の際に更にエンターテイメント性を持たせたいということがある。

そのための企画や準備に日々取り組んでいるわけだけれど、

いろんな可能性が広がっていくムーヴメントをがあるって楽しい。

 

先日、凄腕ギタリストと出会い、

2人でギター弾き倒して遊んだ。

彼の弾くギターを聴きながら、可能性と言うのはどんどん広がっていくんだな・・・なんて思い、

ギタリストのリアルな七つ道具をSHOT!

そいつの指先から、ギターに伝わって音楽を奏でる その間にある道具。

おれにとっての筆やナイフと同じこと。

 

おれの絵は手で描いているんじゃない。

彼もギターを手で弾いているんじゃない。

そうやって生まれたものは、

きっと目や耳に伝わるだけにとどまらない力を持っている、そう信じている。

 

 



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